近年、日本の音楽シーンでじわじわと注目を集めている「令和歌謡」を知っていますか?歌謡曲を知る世代には懐かしさが、そして、歌謡曲を知らない世代には新しく映る「令和歌謡」。昨今、多くのアーティストがこの新しいスタイルを採用し、幅広い世代から支持を得ています。今回は、「令和歌謡」とは何か、その魅力と人気の秘密に迫ります。
2024年5月2日放送 J-WAVE「SONAR MUSIC」 “ああ麗しき、令和歌謡の世界”(ゲスト:高橋昌太郎、昆真由美)の内容を一部抜粋しています。
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そもそも歌謡曲って?
まず、歌謡曲とは何かについて押さえていきましょう。実は、明治時代には「歌謡曲」といえばヨーロッパやアメリカなど海外から日本に入ってきた欧米の歌で、今で言うところの「歌謡曲」とは大きく異なっていました。昭和に入ると、いわゆる昭和時代の日本の流行歌の総称として「歌謡曲」という言葉が使われるようになったのです。今では昭和の時代に発表された歌、という意味で「昭和歌謡」とも呼ばれますね。
「令和歌謡」とは?「令和歌謡」にはどんな歌がある?
令和歌謡”の“歌謡”は70年代・80年代に流行したサウンドやビジュアル面に影響を受けて、それを現代的解釈し、表現している作品のこと。つまり、歌謡曲の特徴を持つ、令和の新しい音楽という位置づけです。
2024年5月2日放送 J-WAVE「SONAR MUSIC “ああ麗しき、令和歌謡の世界”で紹介されていた楽曲から4曲を抜粋してご紹介します。
米津玄師『Lemon』
短調(マイナー)、ヨナ抜き音階が基本になっている点に「歌謡曲」らしさがある一曲。また、米津玄師さん自身「歌謡曲を作ろうと思って作った」という発言もしているそう。また、楽曲制作の際、リファレンスに吉田拓郎さんやユーミンの楽曲(Hello, my friend)を使ったという話もあるとか。悲壮感あふれる歌詞が短調(マイナー)なメロディーにもぴったりです。
THE YELLOW MONKEY『砂の塔』
THE YELLOW MONKEYは90年代から歌謡曲とロックを融合するという事を突き詰めてやってきたバンドです。復帰作の『砂の塔』では、吉井和哉さんが大ファンだった船山基紀さんがストリングスアレンジを手掛けている点でも歌謡曲の要素があります。
サカナクション『忘れられないの』
歌詞そのものに歌謡曲感はありませんが、MVはまさに歌謡曲そのもの。シティ・ポップ的なサウンドと、ビジュアル面を「杉山清貴&オメガトライブ」に寄せたというところが歌謡曲的。歌謡曲を「ジャンルとして」楽しんでいる感じが伺える一曲です。
『忘れられないの』のリファレンスはAORの名曲「ボビー・コールドウェルのWhat You Won’t Do For Love(風のシルエット)」だそう。
新しい学校のリーダーズ『オトナブルー』
ジャケットやAメロに「古い日記」のオマージュが効いている一曲。エレファントカシマシの宮本浩次さんから受けた影響も強いとのことで、歌謡曲的な要素がところどころに見られます。歌詞としては「ほどよい色気」が歌謡曲的。歌謡曲にありがちな色気は、令和になじまないことが多々ありますが、令和のお茶の間に流れても問題ないレベルの、バランスの取れた色気は秀逸です。
なぜ歌謡曲は時代や世代を超えて、聴く人の心に響くのか
歌謡曲は、かつては昭和の流行歌という位置づけでしたが、現在では流行歌ではなく、ひとつのジャンルとして捉えられています。「歌謡曲っぽさ」という独特の世界観が、歌謡曲を知らない世代から楽しまれているのでしょう。また、歌謡曲を知っている世代からは、なつかしさ、ノスタルジーの需要にこたえているとも言えそうです。
歌謡曲に限らず、流行歌は時代を映し出すもの。現在の流行歌、J-POPなどが時代を超えれば「令和らしい歌」として、懐かしく思われる時代が来るかもしれません。
令和歌謡についての本として、評論家・スージー鈴木氏による平成・令和ヒット曲解説本『平成Jポップと令和歌謡』が発売されています。興味がある方はこちらもチェックしてみてはいかがでしょうか。
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